「米国の不動産市場の状況はどうですか?」と、お客様とお話をする機会があるとよく聞かれます。大きなテーマですので一言でお答えするのは大変難しいのですが、今回はアメリカ中古住宅販売市場についてお話します。
アメリカ中古住宅販売状況
全米の全てのエリアをカバーするには、このブログ記事では無理なので、日系企業が多くあるエリアで多くの駐在員がいらっしゃる地域に焦点を当てて説明をします。中古住宅販売市場では、現在中古物件の在庫が非常に低い状況です。現在全米で住宅を所有している人々の多くは非常に低い金利の時期に家を購入した、または非常に低い金利に借り換えました。非常に低い金利というのは、2%や 3%だった時期を指します。
アメリカの金利
このブログを読んでいる人は、「おいおい、待てよ!3%??」と、思っていらっしゃるでしょう。日本では住宅ローンが1.2%-1.5%で借りらますから、3%は高いと感じますよね?日本では普通預金の金利も1%にも満たない低い状態が長年続いています。しかし、ここアメリカでは違います。住宅ローン2%-3%というのは、最近では一番金利の低かった率になります。このような低金利で30年固定ローンを組んでいるということは、物件を売る意味がなく、そのローンを維持する大きな動機になります。アメリカ不動産価格は時間と経過とともに上昇し、少なくともインフレに追いつくと信じているからです。インフレ率が2-3%上昇すれば、不動産の価格は年間4-5%で成長すると予想されています。したがって借りたお金で、30年以上維持すれば、非常に多額の利益になる可能性があります。以上の理由から現在アメリカの人々は家を手放さないということです。
家を買い替えないとうトレンド時代に
売却や引っ越しを望む人は多くいるのに家を売らない状況が続いているというのはとても興味深い状況です。新しい赤ちゃんの誕生や世帯人数の変更によって、世帯人数のサイズに合う家に引っ越しをしたり、前の家を売り、その利益でサイズの大きな家を購入したり、調整をしていくのがアメリカ社会では普通でした。コロナ前は物件を購入後平均7年はそこに住んでからその家を売り、新しい物件に買い替えるというのが通常でした。しかしながら、このトレンドはコロナ後になくなりました。平均7年で、家を変更するというトレンドは低金利が再来しない限り、戻ってこないと予想されます。2-3%の金利の時代があったのか?とうことすら忘れてしまうかもしれません。
住宅の価格は下がってる?
この中古物件の在庫がないという状況は、私を含め多くの不動産会社にとっては痛手であるのは間違いありません。物件販売エージェントも物件購入エージェントも扱う物件や顧客が減り、苦戦をしています。コロナのパンデミック中、またその直後では住宅売買市場が好調だったため、最近のニュースでは住宅販売価格が下降しているという内容をよく見ます。このようなニュースは確かかもしれませんが、私の意見では、その統計の中には低金利期間中に最も価値が上昇した市場の状況を反映しているからだと感じ、一概に価格は下がっているとは言えないと思うのです。
値段が下がっていないエリアも多くあります。例えば、ミシガン州のNoviでは住宅価格の中央値が$435,000で2023年より7.4%上昇しています。Noviの不動産マーケットは昨年より住宅供給率が11.3%増加していますが、(供給数は少ないのですが)物件が市場に出て、購入希望者が見に来るのを待つ日数が10% も減少しました。どういうことかというと、価格が市場に合っていれば、物件が市場に出て1週間や2週間で売れてしまうという状況であります。ミシガンのNoviでは住宅の需要が多いという事が言えます。コロナ前には需要がなかった地域でも需要が多くなってきたエリアもいくつかあります。
例えば、オハイオ州のクリーブランドです。Zillowはクリーブランドは2024年最も注目されている市場のトップ10入りするであろうと予想をしています。私をご存知の方なら、私がいつも「Zillowを全て信じるな!」と、いっている事を知っていると思います。しかし、この件については正しいかもしてません。実際このエリアに投資物件を持っている私は、内装リモデルしている物件、学区が良い物件などは、複数のオファーがきて市場にでて数日で契約完了するをよく見ます。
同じ州のコロンバスでも非常に似たような状況です。もちろん西海岸のシリコンバレー全体では、常にこのような状況が続いていました。価格が非常に高くても強い需要があるエリアであれば、価格が下がることは難しいと言えます。
まとめ
このブログでは、中古住宅販売の市場と住宅在庫数が少ない理由について説明をしました。この先も以上のような在庫状況はおそらく変わらないだろうと予想しています。